No.79 2025年3月春号
記事:中根佳津子
令和7年はどんな年になるでしょうか。
今年の抱負や昨年の思い出など、
皆さまの「伝えたい!」思いをお届けします。
みんなが本音で話せる雰囲気になるといいな
下島様 (87)
インタビュー
私は天下一品のガサツ者なんです(笑)。以前はずけずけとした物言いで、人ともめることもありました。還暦を過ぎた頃からだいぶ学習して、今はとってもラクになりましたけれど。
自分の気持ちをまっすぐに伝えることは、とても大切だと思うんです。だからこれからも、周囲とざっくばらんに話せる関係を築きたいですね。言いたいことをちゃんと伝えて、相手にわかってもらえる関係。それぞれが思っていることを心にため込まずに、素直に話せるようになるのがいいんじゃないかしら。あ、人だけじゃなくて、ワンちゃんたちとも通じ合えるようになりたいな。
話し方に配慮は必要だと思うけれど、よそ行きじゃなくて本音で話せる仲間を一人でも多く作りたいと思います。
健康に注意しながら友人とふれあう毎日に
中沢様 (74)
寄稿
私の課題は毎年変わりなく、ひとつです。それは脳に溜まりつつあるアミロイドβをできるだけ増やさないように、医師からの指示による週3日のプール通いと月1回の通院。
楽しみは2つあります。ひとつは月1で、かつての職場仲間がやっている飲み屋に集まって、ビールを飲みながらみんなでたわいないおしゃべりをすること。ふたつ目は毎晩アプランドルで食後に開かれているコーラスの会。こんな風に、今年も退屈せず、のんびりと過ごしたいな……。
屋上庭園に何を咲かそうか 今年も楽しく悩みます
小川様 (85)
寄稿
施設の屋上に植えた水仙が咲き始めた。幼い頃の記憶に強く残る黄色。生家の垣根に咲く連翹の花だったと聞く。
陰になってしまったせいか、残念なことに今年はラッパ水仙が姿を見せなかった。その代わりに、日本水仙ががんばっている。少し摘んで友にあげたら、お返しにワーズワースの「The daffodils(水仙)」という詩が届いた。
超久しぶりの英詩にドキドキ。中学で英語を学習し始めた春、手にした研究社の英語雑誌の表紙は、アメリカ東海岸の川縁に咲く黄色いラッパ水仙の写真だった。なんて素敵! 思えば、狭かった私の世界が広がり始めたのはこの時からだった。
春。生気の漲る候。芽ぐむ草木の緑。そして何より「黄色」は、私の大切な希望の色。屋上庭園に今年は何を咲かそうかしら……。腰をさすりながら、楽しく悩んでいる。
クリスマスの贈り物に思いを新たに
田中様 (99)
寄稿
毎年10月になると、クリスマスのオーナメントを考え始めます。昨年は自然を取り入れて、オレンジとローズマリーの組み合わせにすることに決めました。オレンジは輪切りにして、2カ月乾燥させます。屋上のローズマリーは、小さく剪定されていてガッカリしました。残っているわずかな中から夢中で捜して切っている時に、「他にもほしい人がいるかも」との声が。ハッとさせられました。ローズマリー欲しさで自分のことしか考えずにいた心の貧しさ、情けなさに愕然としました。この心の痛みを抱えながらオーナメントは無事にできあがり、クリスマスを迎えました。 朝、目を覚まして視界に入ったオーナメントは素晴らしかった。美しく輝くオレンジに、ちょっぴりのローズマリーの緑がそっと寄りそい、オレンジのその輝きを助けている様に思われて、ワーッと息をのむ思い。ただただ感動でした。
「隣の人を愛しなさい」「互いに分かち合いなさい」「思いわずらうことなく」と、神様からのクリスマスプレゼントでした。御言葉をかみしめつつ、これからの険しい坂道を若人の力も借りて登って行きたいと思います。
手作りのオレンジとローズマリーのリースを飾り、素敵なクリスマスになりました。
知り合いった方たちの親切に感謝する毎日
大場様 (97)
寄稿
アプランドル向山に入れて頂いて今年で15年目。入ってすぐに親切な友、堀内さんが来てくださり、その夜から4人で楽しむオセロが始まりました。その時の短歌です。
「人の世の終わりに会いし友垣とホームは楽し夜々のオセロゲーム」
これをアプランドルの大書家、橋本華苑さんが半紙に書いて額装してくださったのがロビーに飾ってあり、とても嬉しいです。
昨年は外出先で転んでしまいました。次の日、ヘルパーリーダーの中山さんが付き添って下さいました。ヘルパーの亀山さんからは屋上庭園で大待宵草、モジズリなどを頂き、植物の名前も沢山教えて頂きました。ここで働く方は皆やさしく親切で、本当に有難く思っています。私も心から感謝して毎日を過ごしたいと思います。
人生の最終コーナーを悔いなく過ごしたい
長島様 (96)
寄稿
「銀杏」の校正もご担当くださっている長島様。スマホだっておてものもです。
アプランドルに入居し、この4月で8年になり、1月には96歳、巳年の年女です。余命いくばくか神のみぞ知る、ですが、前向きに楽しく生きたいもの。さいわい聴力はオーケーで補聴器いらず。右眼は眼底出血のためダメですが、左眼はよく働いてくれて、細かい活字もオーケーですから、読書とスマホで毎日楽しんでいます。そしてホームの友人たちと源氏物語を原文で読んだり、忙しいこと。
会社の先輩が入ったあるホームを訪ねたら、他人の部屋に入るのは禁止、話はロビーで、と聞いてアプランドルの自由さが改めて有難く思われました。フットケアで来てくれる方に、このホームの人々は活気がある、とたびたび褒められて嬉しくなります。
もうトシだからスマホは無理、などと言う方に、ここの淳子企画室長のスマホ教室のことを話したら、すぐにでも入居を希望されるでしょう。「銀杏」68号にも書きましたが、実に親切に教えて下さるのです。同じ事を何度も質問してしまう私などにも、優しくノートに記入して教えて下さり、「家族だとケンカになるわね」と、皆で言い合っています。 スマホを使って、YouTube、X(旧Twitter)、LINEなどでいわゆるオールドメディアのラジオやテレビとは異なる情報や意見に接して、世界の見方が拡がりました。(但しフェイクニュースには気をつけて)
でも、この歳になると悲しいのは同年代の友人が次々に世を去ることです。ここに入居した頃、気がついたら長年の友人が実に数少なくなっていて愕然。でも有難いことに、人間好きで好奇心の強い私は年下の友人に恵まれています。16歳若いフリー編集者のTとは何故かウマが合い、遠い葛飾から1週間おきに来てくれて、買い物が上手で好きなので、私好みの品をうまく見つけて買ってきてくれます。おしゃべりしていると、アッという間に楽しい時間が過ぎて行きます。その他50~60代の友人たちも、よく会いに来てくれます。「倍近いトシの人と、こんなに楽しく話せると元気が出る」と言われると、こちらこそ元気が出ます。豊島園通りに意外と美味しい店が多いのを発見、ランチデートも楽しんでいます。
人生最後の日々を悔いなく過ごし、おさらばしたいものです。
この度は当社ホームページをご覧くださり有難うございます。
機関紙「銀杏」も当社ホームページも、ご入居されているお客様方の日頃の生活や活動を発信することを目的としております。
人は皆「誰かに自分の存在を認めてもらいたい。」と云う根源的欲求を持つものだと思っております。認められることで皆さま益々お元気になります。これが当社の信念「生きることは自己表現すること」に繋がっているのです。
また読まれた方より「高齢になられても皆さんこんなにも頑張られている。勇気づけられます。」との感想も頂いており嬉しく思っております。
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