機関紙「銀杏」特集

No.78 2024年11月秋号

記事:関川香織


 シルバーには、一生懸命作品作りに取り組んでいる方がいらっしゃいます。

芸術の秋、輝いている方々に久田恵さんがインタビューしました。


短歌は日常生活も豊かにします

インタビュー

櫻井様

 ここに入居して1年たったころに、短歌を始めました。変化がないような毎日でも、日常の何気ないことも 表現できる短歌が楽しくて、すっかりはまってしまいました。散歩をしていても常に何か歌にならないかと考えています。かれこれ8年も続けているのはそのせいかしら。

 短歌は語彙力が必要ですね。本は元から大好きで、今も週2回は 櫻井澄子さん 図書館で本を借りてきます。ジャンルは問いません。読んできた本が短歌にも役立っているかなと思います。

 主人が亡くなって1年たったころに子どもたちの勧めがあり、緑あってアプランドルに入りました。 父も夫も転勤族でしたから、新しいところへ入っていくことは好きです。子どもの頃には中国から引き上げてきました。戦後は大変でしたね。

 これからは、「自分のために生きなくちゃ」と思って暮らしています。



手を動かすことが何より楽しいの

インタビュー

白石様

 レース編みは、2005年にここに入居してから始めました。本 を見ながら自己流です。コースターくらいの大きさならば、2~3日で編みますよ。お部屋でラジオを聞きながら編んでいます。手仕事をするときにはテレビは見られませんが、好きなラグビーだけは手を休めて試合観戦に没頭します。 見終わったら消してしまいます。

 この小さな箱の折り紙は、私が考え出しました。ボケーっとしているのが苦手でね、お食事を待っているときなどにでも、いつも手を動かしていたくて折っています。 きれいな包装組があるとそれぞれの大きさに合わせて切っておくの。 折るときはピシッと。折った箱が蓋とぴったり合うと胸がスーッとします。出来た作品は皆さんにプレゼントし喜ばれています。

 まめというのとも違うんですよ、昼寝もします。お部屋の前の廊下の大きな窓から空を眺めるのも好きです。夕方4時を過ぎると、羽田に降りる大きなジェット機が見えます。夜は星を眺めて、流れ星を見ることもあるわ。黙って空を眺めるのも楽しいんですよ。



着ているニットはすべて自作です

インタビュー

加世田様

 編み物 を始めたのは30年前 69歳の時です。「編み物教室」に3年通い、教室で教えるお免状もいただきました。以来すっかり編み物にはまってしまって。 今もお部屋では、編み図を見ながらずっと編んでいます。夢中になって集中するのが楽しいんです。

 私はおしゃれが大好きなんですが、女学校時代は戦争中でモンペばっかり。戦争が終わって、やっとおしゃれができる!と嬉しかったものです。

 シルバーヴィラに入居して5年と2カ月。主人が亡くなってしばらく一人暮らししていましたが、地方から東京に戻った娘に自宅を譲り、私はホームに入ろうと思っていたんです。そうしたらちょうどシルバーヴィラが改築されたタイミングだったので、すぐ入居できました。何から何までラッキーで、「なんて幸せなんだろう、私何かいいことしたのかな」って思います。ほんとうにもう、最高です。



夏の思い出いっぱい!!